本日は吉日なり。レター配信をはじめます。
あのころは、よもや25年後にタロットをはじめるとはまったく想像していませんでした。
でも、いまのわたしの原点は、あの会社員時代にあると思っています。
いまがあるのは、あのときがあったから。
振り返ってみればラッキーの連続だった四半世紀前の話を、ご挨拶に代えて。
はじめまして。眞陽留です。
本日、2021年11月12日はなんだか縁起のいい日です。和暦のなかで最高の吉日とされる天赦日(てんしゃにち)で、干支のいちばんはじめにあたる甲子(きのえね)で、なにをするにも障りがない大安です。甲子は「なにかをはじめるのにいい日」だと言われていて、「この日にはじめたことは、よい流れを持って長く続く」らしいので、せっかくだから縁起を担いでおこうかな、と思って、今日から配信をはじめることにしました。
みなさまに愛されるレターにしていきたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いします。
さて。タロティストとしてお届けする最初のニュースレター、「どんな内容にしようかな」といろいろ考えた結果、やはり自己紹介的な内容がいいかな、と思いいたりました。「書き手の素性を明かさないまま、おもしろいと思ってもらえるものを書いていく」という選択肢もありますが、わたし自身が誰かが書いたものを読むときは「どんな人が書いているのかな?」と気になるからです。
ということで。わたし自身のことを少し。そこからスタートすることにします。
会社員、だったときのこと。
いまでは根無し草的な暮らしにすっかり慣れきってしまっているわたしですが、かつて会社員だったことがありました。
バブル崩壊直後の就職氷河期と言われた時期に大学を卒業し、就職したのは小さな編集プロダクションでした。わたし自身に経験も実力も足りなかったせいもあって、ことばどおり仕事に追われる日々。週の半分以上は会社に泊まり、早朝から深夜まで、あるいは徹夜がデフォルト、終日休みの日は月に1日あるかどうかで「休みの日って、どうやって過ごせばいいんだっけ?」というような状態でしたが、残業代の概念がないどころか、そもそもタイムカードすら存在しませんでした。
当時はこんな言い方もなかったけど、完全なブラック企業です。しかも、上司は怒りの沸点が低い人で、すぐにヒステリーのようになってまくしたてられたりしていました。
でも。たいへんでつらいことも多かったけれど、「これって幸運だな」とも思っていました。強がりでもなんでもなく、本心から。
取引先の出版社の方たちも上司の難しい人柄をよく理解してくれていたので「あの人の下でよくやってるね。たいへんだろうけど、がんばって」とねぎらってくれました。わたしの働きぶりがまったく同じだったとしても、上司がいい人だったら誰にも気にかけてもらえなかっただろうし、「いい上司に恵まれてラッキーね。文句を言うなんて贅沢よ」という感じになっていた可能性さえあります。人間的に少し問題のある上司だったからこそ、周りからかわいがってもらえたし、下駄も履かせてもらえたんですから、ほんとうにありがたいことです。
そんなブラック企業から抜け出せたのは、わたしががんばったからでも、わたしが逃げ出したからでもありません。会社が解散したんです。
いろいろあっての、事実上の倒産。入社から2年と数か月で、わたしは職を失いました。
退職金はもらえなかったものの給与の未払いなどはなく、出版社の方たちからは「会社なくなっちゃってだいじょうぶ? うちの仕事、手伝わない?」と声をかけていただきました。そのおかげで、さしたる苦労もなく、なんの計画も立てないまま、フリーランスの編集ライターとしてスタートを切ることができちゃったのだから、これもまたほんとうにラッキーだったと思っています。
ちなみに、会社員時代はほんとうに忙しくてたいへんだったけれど、社内の人間関係はそれほど悪くなく、むしろ「同士」という一体感のなかで綱渡りの日々を楽しんでいたように思います。もっとも、当時は「逃げ出したい」と思ったこともしょっちゅうあったけれど、少なくとも「イヤなことばっかり」ではありませんでした。あのときの同僚たちとはいまでもつながっていて、一緒に仕事をしたり、連絡を取り合ったりしています。
フリーランスになって以来、旅、食、クルマ、インタビューなど、さまざまな仕事をしてきました。もともと好奇心が旺盛なわたしは、いろんなところに行って、いろんな人に会って、いろんな話を聴いて、文章にして世に送り出すことが楽しかったし、性に合っていたと思います。
それでも、「もう少しちゃんと就職活動をして、もう少し大きな会社に入れていたら、どうなっていたかな」と考えたことは何度もありました。いまでもときどき想像します。でも、ぜんぜんちがう道を歩んできていたら、わたしが出会ってきた人たちと巡り合えなかったかもしれません。いま、わたしの周りにいる人たちのことは大好きなので、これは変わってほしくない。となると、毎度毎度「やっぱりこれでよかったんだな」という結論にいたります。
あれからおよそ25年。いい人たちとの出会いに恵まれ、それなりに幸せと充実感を感じながら生きてきました。そんななかでタロットと出会い、編集ライターの仕事と並行してタロティストとしての活動もはじめることに決めました。
そして、いま。「theLetterで発信する」ということもスタートしようとしています。
これからこのレターでどのようなことを発信していくか、まだはっきりとは決めていません。タロットのこと、タロットを引いているわたし自身のことは書いていくつもりですが、そのほかにもおもしろいと思うことをつらつらと書いていくかもしれません。
まだ海のものとも山のものともつかないレターですが、どうぞよろしくお願いします。ゆるゆると、末永くお付き合いいただけたら嬉しいです。
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